最近、携帯電話でのフィルタリングサービス(いわゆる「有害サイトアクセス制限サービス」)について、さまざまな問題点を指摘するマスコミ報道が増えていますね。また個人のブログで問題について言及・解説されているケースも見られます。
ネットスターも、携帯電話会社各社へフィルタリングサービスで使われるURLリストを提供している立場から、様々なご指摘については決して他人事ではいられないところです。連日の報道内容やネットでの論調などをなるべく注意深くひとつずつ見ています。
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その中でも特に、「一見有害とは思えないサイトも見られなくなる⇒なんらかの改善が必要」という指摘が特に多くなっています。
携帯向けのフィルタリングの場合、サービス設計の仕様上、職場や学校・家庭などで使われているパソコン向けのフィルタリングとは違う点がいくつかあるため、現在指摘を受けている状況の原因はほぼすべてが携帯特有の話と言ってもそれほど大きな間違いではないかなとは思います。
たとえば最近のテレビ番組や雑誌でしばしば取り上げられている
▲ホワイトリスト方式で、携帯電話会社の公式サイト以外がすべて見られない
(学習塾や英会話学校の予約などに支障)
▲ブラックリスト方式で、コミュニティ系のサイトが一律規制されているため、大手ブログや掲示板サービスを利用していると、内容に関わらず見られない
(地域のサッカーチームなどの連絡掲示板や、自治体が運営している特定サイトなどの利用に支障)
▲宗教カテゴリを規制対象にしている携帯電話会社のサービスでは、観光地にもなっているような有名な寺社サイトが見られない
などの点は、そのよしあしは別としていずれも、
「規制対象カテゴリの選択が携帯電話会社の設定のまま固定」
「特定サイトの規制解除機能が提供されていない」
といった仕様面での特徴を持つ、携帯電話向けサービスならではの弊害として説明することが出来ます。
またこうした問題については、ようやく運営側の関係者の間での認識が共有されつつあり、2月27日の総務省検討会でも、「改善していくべき点がある」との表現に至っています。
ただしすべてが携帯特有の話というわけでもなく、その他の問題点ご指摘の中には、フィルタリングの本質につながるものも含まれていますので、本日の記事ではこの背景についての解説をしてみたいと思います。(前段が長くなりすぎました。)
まず、フィルタリングの仕組みについては、本ブログでも簡単にはご説明してきたと思うのですが、現在主な技術要素となっている(※注)のは「URLを判定の材料にする」というものです。
(※注 これ以外にサイトに含まれている単語や画像を判断材料に用いるフィルタリング技術も提供されていますが、様々な問題から、アダルトなどごく限られた分野でのみ補助的に実用化されているのが現状です。)
もちろんここで「URLを材料にする」といっても、URLに含まれる単語そのものを見ているわけではなく、ウェブサイトを特定するための「住所」として使っているという意味ですね。
たとえば
http://△△△.□□□.jp/○○○/×××.htm
のようにURLという表現の決まりごとを使うことで、世の中のウェブサイトのほとんどの場所が簡単に特定できるようになっているわけです。
ですから予めサイトの内容を確認しておいて、たとえば
http://△△△.□□□.jp
というサイトが、ほぼすべてスポーツの話題で占められていると判断できる場合には
http://△△△.□□□.jp⇔スポーツ
のように、URLとコンテンツのカテゴリを結びつけた上で、URLリストに追加しておきます。
そのURLリストを使っているフィルタリングユーザーが「スポーツ」を閲覧規制の対象として選んでいた場合、傘下のパソコンから
http://△△△.□□□.jp
はもちろん、
http://△△△.□□□.jp/○○○/×××.htm
http://△△△.□□□.jp/○○○/△△△.htm
http://△△△.□□□.jp/△△△/□□□.htm
http://△△△.□□□.jp/×××/□□□.htm
のようなリクエストが来た時にも、URLリストを照合するとすべて「スポーツ」という回答が戻ってくるために、閲覧は規制されるということになります。
これがURLフィルタリングの仕組みの大前提です。
ただし実際には、URLリストへの追加・登録の方法は、上記のような「ドメイン」単位には限りません。
http://△△△.×××.jp/○○○/⇔スポーツ
http://△△△.×××.jp/△△△/⇔芸能人
のように、コンテンツの配置や分布の状況に合わせて、ドメインより下の「ディレクトリ」のレベルや、さらに低い階層の「ファイル」単位でリストへの登録をすることも可能です。
またこれとは逆に、
http://△△△.□□□.jp⇔掲示板
ではなく
http://□□□.jp⇔掲示板
としてリスト登録した場合には
http://×××.□□□.jp
http://○○○.□□□.jp
http://□□□.□□□.jp
のようにサブドメインが変わっても、□□□.jp全体をすべてひとつのカテゴリ(この場合は「掲示板」)として取り扱うこともできるようになっています。
さらにはたとえば、掲示板サイトの中にアダルト画像ばかり貼り付けられているスレッドや違法薬物の取引情報ばかりが書き込まれているスレッドがあった場合、
http://△△△.×××.jp/⇔掲示板
http://△△△.×××.jp/×××/⇔アダルト
http://△△△.×××.jp/□□□/⇔薬物
のように、悪質・有害なものについては、サイトの一部だけを特定してリストへ登録することも可能です。
このようにリスト登録することで、当該サイトの全体は掲示板として扱い、特定カテゴリについてのみ、規制対象と扱うことが出来ます。
こうした仕組みを前提に、ネットスターのようなフィルタリングリスト提供企業では、様々なウェブサイトを毎日見て回って、URLリストへの分類登録を行っているわけです。
この際、サイトの内容を判断している専任スタッフは、カテゴリを決めるだけでなく、それぞれのサイトのどの位置でURLリストに登録するのかについても最終判断を行っています。
またこのようなURLリスト登録作業についてネットスターでは、「不正コード配布」などの特殊カテゴリを除き、「全件について目視での確認をしています」との説明をしています。
しかし実際には上記のように目視の目的そのものが、単純な「コンテンツ内容の確認」だけでなく、特徴的な内容把握をしながらも、いかにサイトの構成(URL面での構造)にも配慮しながらの判定をしていくかという面も持ち合わせています。
したがって、URLリストへ登録されるURLの全件について人力で確認しているのは確かなのですが、その際にサイト内の「全ページ」を見ているわけではないというわけなんです。
この点については、単純に「全件を目視しているから安心です」と言ってしまうと、こうした裏側の仕組みをご存知ない一般の方にとっては、すべての「ページ」を見ていると素直に思われる可能性が高いわけで、ここはもっと明確に区別しながら説明していくべきですね。
さてさて、すっかり長くなりましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
携帯フィルタリングについては、「改善の必要」ということまではハッキリしてきましたが、実際にどう改善していくのかという点については、まだこれから詰めていく段階といえます。
ネットスターとしても、これまでに培ってきたノウハウと技術を元に、少しでも全体的な状況改善のお役に立ちたいと考えておりますので、引き続きのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。